尿に大量のたんぱくが出る小児腎臓病「先天性ネフローゼ症候群」について、患者の人工多能性幹細胞(iPS細胞)で異常を持つ糸球体の再現に成功し、原因となる遺伝子変異を特定したと、熊本大の西中村隆一教授らの研究チームが発表した。研究チームは「難病指定のネフローゼ症候群の治療薬開発につながる」としている。論文は30日付の米科学誌ステムセル・リポーツ電子版に掲載された。
 研究チームによると、腎臓には血液から老廃物をろ過して尿を作る糸球体があり、ろ過膜は主に「ネフリン」から成る。ネフリンに異常があるとろ過膜ができず、通常漏れ出ない大きなたんぱく質が尿で排出される。先天性の場合、生後3カ月以内に大量のたんぱく尿が出て、たんぱく質が不足。2~3年で腎不全になることが多いという。
 研究チームは、ネフリンの遺伝子配列に1カ所だけ変異を持つ先天性ネフローゼ症候群患者の皮膚からiPS細胞をつくり、試験管内で異常を持つ糸球体の初期状態を再現することに初めて成功。遺伝子を効率良く改変できるゲノム編集でネフリンの変異を修復すると正常化し、この変異が病因の一つであることを突き止めた。一連の研究はマウス移植でも行い、正常化したネフリンがろ過膜を形成し始めたことを確認したという。
 ネフリンの変異による先天性ネフローゼ症候群はフィンランドで多く、8200人に1人みられるという。今後ネフリンに作用する薬が見つかれば、小児期だけでなく成人の腎臓病まで広く効く可能性があり、西中村教授は「大きな前進だ」と話している。 (C)時事通信社