西日本豪雨から2カ月を迎えるのを前に、被災地を視察したトイレや廃棄物の専門家が東京都内で報告会を行った。衛生面などで課題が挙がった一方で、事前の想定や準備が功を奏した事例も紹介。行政や企業の担当者らに「災害時は初動が肝心」と呼び掛けた。
 報告会を開いたのはNPO法人「日本トイレ研究所」で、7月中旬と下旬に岡山県と愛媛県で実態調査を行った。報告会で加藤篤代表理事は、1995年の阪神大震災と今回の水害、それぞれの避難所の汚れた便器の写真を示し「23年前と変わっていない」と説明。「災害発生後、数時間でほとんどの人がトイレに行きたくなる。備えておかないと、あっという間に対応できなくなってしまう」と強調した。
 近年は仮設トイレの備蓄や洋式化が進むなど改善も見られるという。ただ、設置場所が建物から離れていたり、周囲が泥だらけだったりと利用をためらうようなものもあった。加藤氏は「環境も整えないと使ってもらえず、健康に影響する」と語った。
 好例として挙げたのは、男女が別でマークも分かりやすい、照明の付いた仮設トイレだ。住民の清掃でトイレが清潔に保たれていたり、車いす利用者のために動線をテープで床に張っていたりした避難所もあった。同研究所はウェブサイトに避難所トイレのチェックリストを掲載。加藤氏は「設置だけでなく維持管理の方法も事前に決めておくべきだ」と訴えた。
 浸水被害のあった住宅地では、路上などにごみや家財が積まれた状況が見られた。廃棄物管理が専門の岡山朋子大正大准教授は「車両通行を妨げないよう集積し、早期に行政による仮置き場を設置してほしい」と話した。設置後は多くの輸送車両や運営人員が必要になることから、「自治体は業界団体と事前に連携協定を結び、職員OBを積極的に活用すべきだ」と提案した。
 岡山氏は、上下水道が使えなくなった被災地で、洋式トイレに袋を取り付けて使う携帯トイレにも言及。使用後はごみとなり衛生面や臭いの点で課題があるとして、保管や運搬方法について前もって検討、周知するよう求めた。 (C)時事通信社