旧優生保護法下で障害者らが不妊手術を強制されるなどした問題で、旧厚生省が1970年代には強制不妊手術を問題視し、対応などを検討していたとみられることが7日、厚生労働省が公表した内部検討資料で分かった。一方で、同法が議員立法で制定されたことなどから、「行政府が主導して議論を開始すると混乱を生む」とも記述。国は手術を問題視しながら、「母体保護法」に改正される96年まで容認する結果になった。
 公表資料のうち、70年3月1日付の「優生保護法改正問題について」と題する文書は、問題点の一つとして「手術の対象者は現行通りでよいか(遺伝性以外の精神病および精神薄弱、らい等)」と書かれていた。
 86年10月の文書には手術に関し、「人道的にも問題があるのでは?」と記載。88年9月の文書は強制手術に関し「人権侵害も甚だしいものであり、そもそも精神障害、精神薄弱などは遺伝性も極めて低く、優生保護の効果としても疑問がある」と書き、廃止を提案している。
 今回の公表資料とは別に、旧厚生省の公衆衛生局長だった加倉井駿一氏(故人)が73年9月、日本医師会(日医)の講習会で、不妊手術に関して「学問的には非常に問題」などと発言し、日医の機関誌に掲載されたことも明らかになっている。
 公表資料には、強制不妊手術の対象としていた疾患の一部に関し「遺伝性のものか否か医学的な統一見解はなく、臨床的な認定は困難」「再検討を要するものがある」など、局長発言の表現と酷似する記述も見られた。 (C)時事通信社