涙を流してストレス解消-。泣くことの効用に着目した「涙活(るいかつ)」が学校や企業の間でひそかに広がっている。生徒や従業員のメンタルヘルス対策が重要視される中、体験者からは「すっきりした」「あしたからまた頑張れる」との声が相次いでいる。
 悲しみや感動で流す涙は、副交感神経の働きを活発にして自律神経をリラックスさせ、ストレス解消効果があるとされる。日本医科大の海原純子特任教授は「ストレスを積み重ねないための自己防衛だ」と指摘する。
 元高校教師の吉田英史さん(43)は「なみだ先生」を名乗り、全国の学校や企業で講演するなどの普及活動を始めて5年半になる。教師時代、涙を流して悩みや本音を打ち明けた生徒はそれ以降相談に来なくなったことから、泣くことの効用に注目したのがきっかけだ。
 吉田さんは「泣くことは『笑い』や『睡眠』よりもストレス解消に効果的だ」として、2014年、東邦大医学部の有田秀穂名誉教授らと啓発活動を本格化させた。
 心理的な負担の軽減を目的に、15年に従業員50人以上の企業などでストレスチェックが義務化され、吉田さんには、企業や学校からの講演依頼が殺到。この数年間、数百カ所で啓発活動を行ったという。
 吉田さんによると、涙活では、泣ける映画や音楽、本などを使って、涙を流す機会を作ることがポイント。「1週間に1回泣くとストレスフリーな生活が送れる」と話す。
 9月7日に私立大阪高校(大阪市東淀川区)で行われた講演には、2年生79人が参加した。生徒は、孫が祖母への感謝を伝えるなどの「泣ける動画」を鑑賞した後、作文を書いて読み上げ、涙を流した。評判は上々で、津田涼平さん(17)は「泣くときはしっかり泣こうと思う」と語った。杉本騎士さん(17)は「ストレス(発散)にもいい」と話し、継続的な涙活に意欲を示した。 (C)時事通信社