「突然の電話だったので驚いた」。2018年のノーベル医学生理学賞に選ばれた本庶佑京都大特別教授は1日、同大で記者会見した。研究室で若手研究者らと議論している時に受賞の知らせを受けたと明かし、「大変うれしく思った」と笑顔を見せた。
 がん治療に新たな道を開いた本庶さん。自身の発見を、感染症から多くの人を救った世界初の抗生物質ペニシリンに例えた。「感染症が大きな脅威でなくなったのと同じような日が、今世紀中に訪れる」と胸を張り、「病気から回復したのはあなたのおかげだと言われる時が、何よりうれしい」とほほえんだ。
 徹底した研究姿勢で若い頃から実績を重ね、「挫折はしなかった」という。それでも「非常に大きな壁にぶつかったことがある」と漏らしたのが、実用化に至る過程だった。
 免疫を抑制する分子「PD-1」を発見した時、多くの製薬企業が当初、薬の開発に二の足を踏んだからだ。「全財産をなげうって自分で開発しなければいけないかと思った。なげうつ財産がないが」と振り返り、会場の笑いを誘った。
 一方で、実用化が近い研究に資金を集中させる近年の傾向には批判的だ。「生命科学の分野では何が重要か分かっていない。応用だけやると大きな問題を生じるので、たくさんの基礎研究に資金を出し、特に若い人にチャンスを与えるべきだ」と警鐘を鳴らした。
 大事にしているのは「知りたいという好奇心」。「自分の頭で考え、納得できるまでやる」をモットーに、今も研究を続けている。 (C)時事通信社