児童虐待事例を検証する厚生労働省の社会保障審議会専門委員会は3日、東京都目黒区で虐待を受けた船戸結愛ちゃん=当時(5)=が3月に死亡した事件の検証結果をまとめた。一家が香川県から目黒区に転居した際、それぞれを管轄する児童相談所間の引き継ぎが不十分で、都の児相が緊急性が高いと判断しなかったことなどを問題点として指摘した。
 再発防止のため、児相が事例の特徴や危険度を判断するチェックシートを活用し、緊急性などが簡潔に伝わるよう引き継ぐことなども提言した。
 専門委が虐待死の1事例のみを、自治体の検証結果を待たず、直接検証するのは初めて。両都県もそれぞれ有識者による組織が事件を検証中だが、専門委は自治体間をまたぐ問題を中心に書面やヒアリングによる調査や分析を行った。
 検証結果によると、一家の転出届は今年1月17日に提出された。児相間の引き継ぎは同29~31日、電話や資料の送付によって行われた。
 香川県の児相は、事例の経緯など膨大な資料を送付。しかし、厚労省が児童相談所運営指針や子ども虐待対応の手引きで求めている、危険度判断などのためのチェック形式の「リスクアセスメントシート」の作成をしておらず、これに基づく事例の特徴や危険度の評価も伝えなかった。また、けがの写真は送らず、口頭での補足説明も不十分だったため、引き継ぎ内容は不明確だったという。
 対面で引き継ぎがなかったことで、電話や書類では伝えにくい危機感や家族の特性などの情報やニュアンスが伝わらず、両児相のリスクの程度の判断に食い違いが生じたとも指摘した。
 香川県の児相は一家の転居などを理由に、子どもを在宅させて児童福祉司が保護者を指導する「児童福祉司指導」を転居前の1月4日に解除。このことが、東京都の児相が緊急性の高い事例と判断しなかった一因になったとの見方も示した。専門委は、引き継ぎ完了までは児童福祉司指導などの措置を解除すべきでないと提言した。 (C)時事通信社