【ロンドン時事】1998年に本格化したコンゴ内戦やその後の混乱では、兵士や武装勢力による女性に対する集団レイプが単なる戦場での無秩序の結果ではなく、「兵器」として意図的に行われたとされる。ムクウェゲ医師はこの実態を告発し、国際社会に直ちに行動を起こすよう訴えてきた。
 ムクウェゲ氏が設立したコンゴ東部ブカブのパンジ病院には、レイプされ、ひどい傷を負った女性たちが押し寄せた。あるコミュニティーが集団レイプの被害に遭うと、けがが原因で子供ができなくなったり、エイズウイルス(HIV)の感染が広がったりして、コミュニティー全体が破壊される恐れもあるという。
 当初、この問題への世界の関心は高いとは言えなかった。ムクウェゲ氏は2012年9月、国連で演説し、紛争勃発以降「国際社会はコンゴで勇気の欠如を露呈した」と告発、各国・機関の無策を厳しく批判した。
 この演説の1カ月後、ムクウェゲ氏は武装集団に自宅を襲われ、欧州に逃れた。しかし、地元住民の間からの復帰を求める声は強かった。貧しい女性たちがなけなしの金を集め、ムクウェゲ氏のために帰路の航空券を購入。熱意に動かされ13年1月にブカブに戻った際、数千人が沿道で歓迎した。
 武器を持たない女性たちがボランティアで24時間の警護を申し出た。ムクウェゲ氏は「彼女らの熱意がこれまで通り働き続ける自信を与えてくれた」と英BBC放送に語っている。 (C)時事通信社