聴覚障害を持つ俳優らで構成する演劇ユニットがこのほど、筋ジストロフィーの女性が10年前の自分に向けて書いた本を手話も交えながら朗読する劇を披露した。
 東京都内の舞台で朗読されたのは、進行性の難病と闘いながら、歌手や講演活動を続ける小沢綾子さん(35)=千葉県君津市出身=の著書「10年前の君へ 筋ジストロフィーと生きる」(百年書房)。筋ジストロフィーと診断され、目の前が真っ暗になっていた20歳の自分に「安心して 10年後の君は 君が思っているほどに悪いものじゃないから」と記し、前向きに生きることの大切さを訴えている。
 2日に行われた舞台は、演劇ユニット「風の市(いち)プロデュース」を主宰する聴覚障害者の庄崎隆志さん(56)が演出した。コントラバスの演奏に合わせた人形劇で、小沢さんが診断時に「5年後にはつえ、10年後には車いすになるかも」と医師から宣告された場面を表現。続いて本の内容を女優らが手話と朗読で紹介し、最後は小沢さん本人が昨年末ごろから使うようになった車いすで登壇、朗読を引き継いだ。
 「音のない世界にいる人たちとつないでもらった」。いつもは主に歌でメッセージを伝えている小沢さんが、同じ病気で亡くなった知人が作詞した歌を披露すると、背景には歌詞が表示された。
 庄崎さんは「手話を使う私たちが、難病と共に生きる小沢さんと手を携えて創り出した舞台。やってよかった」とほほ笑んだ。 (C)時事通信社