安倍晋三首相は15日、消費税率を2019年10月に8%から10%に予定通り引き上げる方針を表明した。増収分の一部を子育て支援に振り向けることで消費の下支えと少子化対策を同時に行う「一石二鳥」を狙う。ただ高齢化によって膨張する社会保障関係費を10%への増税だけで賄うことは困難で、一段の歳出入改革が不可欠だ。
 2%の消費税率引き上げで見込まれる税収増は約5兆6000億円。当初計画では4兆円強を赤字国債の発行抑制に充て、残りを高齢者支援を中心とする社会保障の充実に使う予定だった。
 しかし、税率を5%から8%に引き上げた14年度は実質GDP(国内総生産)成長率がマイナスに転落した。17年末に首相は子育て世帯の負担軽減のため、増収分の1兆7000億円を保育士の増員や幼児・高等教育の無償化などに新たに振り向ける方針を決定。年内に具体化し、来年度当初予算案などに反映させる。首相は15日、「来年10月1日から認可・無認可合わせて幼児教育を無償化する」と強調した。
 また10%への引き上げでは、食料品などの税率を8%に据え置く軽減税率が導入される。これに伴う1兆円程度の減収分の財源は一部しか確保されておらず、来年度税制改正で議論する。
 消費税増税は安定した社会保障財源を確保するのが目的だ。国の一般会計に占める社会保障関係費は1990年度の11兆6000億円から18年度は33兆円と約3倍に拡大。内閣府の試算では「団塊の世代」が全て75歳以上の後期高齢者となる25年度には41兆円に達し、財政を大きく圧迫する。
 国は近年、借金に当たる赤字国債を30兆円前後発行して財源不足を賄い、将来世代に負担を先送りし続けている。消費税率を10%に上げただけではこうした状況を十分に是正できない公算が大きい。借金が雪だるま式に膨らみ、返せなくなる事態を防ぐには、国民に痛みを伴う改革を問う政治的決意が問われる。 (C)時事通信社