今年の風疹患者が、国立感染症研究所の集計で1000人を超えた。妊娠中に風疹にかかり、障害を持った娘を亡くした「風疹をなくそうの会『hand in hand』」共同代表の可児佳代さん(64)=岐阜市=は「女性や妊婦の家族だけではなく、30~50代の男性がワクチンを接種してほしい」と訴えている。
 妊婦が風疹に感染すると、赤ちゃんが目や耳、心臓などに障害を持つ「先天性風疹症候群(CRS)」になって生まれる可能性がある。
 可児さんは風疹と診断された後、妊娠が分かった。1982年11月に2050グラムで生まれた長女の妙子さんは、代表的なCRSである先天性白内障と難聴、心臓病の障害を持っていた。
 妙子さんは手術などで矯正視力が0.3に改善。補聴器も使い、手話でコミュニケーションできるようになった。笑顔を絶やさない明るい性格で周囲に愛されたが、心臓病が悪化。2001年2月、18歳の若さで亡くなった。
 可児さんは、風疹やCRSに関する啓発などの活動を開始。「私は娘から『風疹をなくしてね』とバトンを託された」と話す。
 風疹の予防には2回のワクチン接種が有効とされるが、妊娠中は接種できない。厚生労働省は、妊娠を希望する女性や妊婦の同居家族に対して重点的に抗体検査やワクチン接種を呼び掛けている。
 しかし、現在の患者は30~50代の男性が全体の7割近くを占める。この世代の男性の多くは、風疹の定期予防接種を受ける機会がなかった。
 妊婦が出産前まで働くケースは多く、職場に風疹患者がいれば感染リスクは高まる。可児さんは「女性や妊婦の家族だけ接種しても、風疹の流行を止められるわけがない。30~50代の男性が感染源にならないために接種してほしい」と強く求めている。 (C)時事通信社