厚生労働省は15日、最も危険度が高い病原体を扱うことができる国立感染症研究所村山庁舎(東京都武蔵村山市)の「BSL4」施設で、致死率の高いエボラ出血熱やラッサ熱などを引き起こすウイルスを輸入し、検査に活用したい考えを地元側に伝えた。今後、協議や説明会などを通じて地元の理解を得た上で実施する方針。
 2020年の東京五輪・パラリンピックなどで訪日外国人の増加が見込まれる中、海外からこれらの感染症が持ち込まれても迅速に適切な対応ができるよう、輸入したウイルスを活用し、これまで国内では実施できなかった検査法の精度を上げるなどの準備を進めるのが狙い。
 輸入を提案したのは、感染症法上の「1類感染症」で、発熱や出血傾向を特徴とする致死率の高いウイルス性出血熱であるエボラ出血熱、クリミア・コンゴ出血熱、南米出血熱、マールブルグ病、ラッサ熱の病原体。厚労省によると、エボラ出血熱の原因となるエボラウイルスはこれまでに日本に上陸していない。
 感染研村山庁舎のBSL4施設は1981年に完成したが、地元住民の反対で本来の施設としては稼働できず、危険度が1段階低いウイルスなどを扱うBSL3施設として利用されてきた。
 しかし、アフリカでのエボラ出血熱の感染拡大を受けて厚労省と武蔵村山市が協議し、15年に藤野勝市長が稼働を容認。塩崎恭久厚労相(当時)がBSL4施設として指定した。ただ、現状ではエボラウイルスなどの所持は可能だが、輸入や譲り渡し、譲り受けは認められていない。
 厚労省は15日、感染研、地元の自治体や自治会の幹部らとつくる協議会でウイルスの輸入などを提案。出席した自治会代表からは「近所の住民は不安でたまらない。全く納得できない」との批判が出た一方、「時間をかければスムーズにいくかと思うので、継続して(説明などをして)ほしい」との声もあった。 (C)時事通信社