製薬大手ノバルティスファーマの高血圧治療薬「ディオバン」をめぐる論文データ改ざん事件で、薬事法(現医薬品医療機器法)違反(誇大広告)罪に問われた元社員白橋伸雄被告(67)と、法人としての同社の控訴審判決が19日、東京高裁であった。芦沢政治裁判長は論文を広告とは認めず、一審の無罪判決を支持、検察側の控訴を棄却した。
 改ざんデータに基づき、医学誌のホームページなどに発表された「他の薬より優れている」とする研究論文が、薬事法が禁止する誇大広告に当たるかどうかが最大の争点だった。
 芦沢裁判長は「学術雑誌への論文掲載は専門家向けの研究報告で、顧客を誘引する手段にならない」と判断。「たとえ白橋被告が作成したデータが虚偽のもので、研究者に虚偽の論文を作成させたとしても、広告に当たらない」と結論付けた。
 検察側は「インターネットなど情報発信が容易になっており、医薬品に関する虚偽や誇大な情報を広く規制する必要がある」と主張したが、判決は「学術論文が規制対象になれば、自由な研究発展が阻害される懸念がある。新たな立法措置で対応すべきだ」と退けた。 (C)時事通信社