日本とロシアの間で経済関係強化に向けた機運が高まりつつある。日本の経済界はインフラ整備やエネルギー分野に注目する一方、「ロシアの法律や通関制度が不透明」(海運大手)との声も根強い。両国間には懸案である北方領土問題も横たわり、貿易・投資の拡大は容易ではない。
 安倍晋三首相とプーチン大統領が今月中旬に平和条約締結交渉の加速で合意。これを受け、経済界は次の一手を探る。サハリンから液化天然ガス(LNG)を年間20万トン輸入する大阪ガスは「安定調達できるのであれば拡大の余地がある」(本荘武宏社長)との見方を示す。
 日揮は2016年に安倍首相がプーチン大統領に提案した8項目の経済協力プランに基づき、極東ハバロフスクで野菜の温室栽培の規模を拡大した。今年5月にはウラジオストクで日本式のリハビリテーション医療を提供する施設を開院している。大手商社も再生可能エネルギー、食料、医療の分野で事業拡大を見据える。
 一方、日本貿易振興機構(ジェトロ)関係者は「ロシアに進出する日本企業は商社や大手メーカーが中心で、中小企業は少ない」と指摘する。
 19日に東京都内で両国経済団体幹部らを集めて開かれた会議では、日本企業からロシアの法制度への対応の難しさや輸出入手続きの煩雑さを指摘する声が出た。ロシアの州政府関係者は「地方都市にも目を向けてほしい」と要望していた。 (C)時事通信社