高齢者が入浴中に溺れて死亡する事故が増加傾向にあり、特に7割が11月~3月に起きるとして、消費者庁は「いい風呂の日」(11月26日)を前に注意を呼び掛けている。暖かい部屋と寒い浴室、熱い湯の温度差で血圧が大きく変動する「ヒートショック」による失神や心筋梗塞が原因とみられる。同庁は「入浴前には脱衣所や浴室を暖めた上で、湯温は41度以下に抑えてほしい」としている。
 厚生労働省人口動態調査を消費者庁が分析したところ、高齢者が溺れて死亡する事故の約7割が自宅や入所施設などで発生していた。2016年の死者数は07年以降で最多の4821人(前年比342人増)に上っており、特に11年以降は、交通事故よりも多い状態が続く。これらの数字は「溺死」に限り、「病死」と判断されたものは含まれないため、入浴中の急死者数はさらに多いと推定される。
 また同調査によると、人口10万人当たりの溺死者数は75歳以上で急激に増え、16年は85~89歳で32.8人と最も多くなった。07年時点と比べると、全ての年代で死亡者数は増えていた。
 消費者庁消費者安全課は「湯船に漬かるのは10分までが目安で、酒や薬を飲んだ後の入浴も危険。高齢者は『自分は元気だから大丈夫』と過信せず、家族も浴室で何か異常を感じたらすぐに声を掛けるなど注意を払ってほしい」としている。
 ◇入浴事故対策の例
 一、入浴前に脱衣所や浴室を暖める
 一、湯温は41度以下に抑え、漬かる時間は10分以内にする
 一、浴槽から急に立ち上がらない
 一、食後や飲酒後、薬を服用後は入浴しない
 一、異変を早期発見できるよう、入浴前に家族らに一声掛ける。 (C)時事通信社