生体や液体の中のたんぱく質の動きを非常に弱いX線で長時間測定できる技術を開発したと、東京大の佐々木裕次教授や高輝度光科学研究センター(兵庫県佐用町)の関口博史チームリーダーらが3日までに発表した。病気の原因となる異常なたんぱく質が凝集する様子や新薬候補の化合物が標的のたんぱく質に結合する様子などを観察できると期待される。
 この技術は、大学などの実験室にある弱いX線発生装置を利用でき、東大と産業技術総合研究所の共同研究拠点(千葉県柏市)で専用計測装置を開発する方針。佐々木教授は「できれば5年以内に市販にこぎ着けたい」と話している。論文は英科学誌サイエンティフィック・リポーツに掲載された。
 たんぱく質の動きは直接計測できないため、目印として金の微小な結晶を取り付け、X線を当てて反射(回折)したX線を計測する。佐々木教授は1998年に大型施設で発生させた強力なX線を当てて計測する技術を開発したが、このX線はさまざまな波長を含む「白色X線」である必要があり、普及しなかった。
 このため、一般に使われる単一波長の「単色X線」を当て、回析したX線が明滅する様子をコンピューターで解析して動きを調べる技術を開発した。非常に弱いX線で十分解析でき、医学実験に使われる線虫(体長約1ミリ)などの生物や細胞の中のたんぱく質を長時間観察できるという。 (C)時事通信社