今年のノーベル医学生理学賞を受賞する本庶佑京都大特別教授(76)は、受賞対象となったがん免疫療法について、抗がん剤や外科手術、放射線治療よりも優先される「第一選択」になるとの見方を示す。開発された新薬は専門医も驚く効果を発揮する一方、効く患者は2~3割とされ、効果の有無を見極める手法が課題となっている。
 本庶さんの研究成果を基に、小野薬品工業(大阪市)は2014年9月、がん免疫薬オプジーボを発売。18年8月までに肺がんや胃がんなど7種類のがんへの使用が国に承認された。これまでに使われた推計患者数は2万5000~3万人に上る。
 「どんどん腫瘍が小さくなり、驚きを隠せなかった」。京都府立医科大の高山浩一教授(呼吸器内科学)は16年夏以降、抗がん剤が効かなくなった肺がん患者3人にオプジーボを点滴投与したところ、2人はX線画像から腫瘍が消えていったという。
 この2人は副作用もほとんどなく、効果が持続している。1人は副作用が出るなどして投与を中断した。高山教授は、投与をやめても病気が進行しないとされる一方、副作用は多くの人には出ないが、どんな人に出るのか分からないことが課題だとした。
 本庶さんは免疫療法について、「がん細胞を直接攻撃するのではなく、免疫反応を活性化する」と仕組みを説明。「全てのがんに効く可能性が高い」とし、副作用は自己免疫疾患などで非常に少ないと強調する。
 現在は免疫療法が効くがんや患者を見分ける指標(マーカー)の開発に取り組む。市販されている高脂血症薬を併用すると効果が高まることもマウスで確認し、臨床試験が進められている。 (C)時事通信社