体外受精させた受精卵の染色体異常を調べ、異常のないものを選ぶ「着床前スクリーニング」について、臨床研究を実施している日本産科婦人科学会は16日、流産率を低下させる可能性があると発表した。ただし出産に至る率は変わらない可能性もあるという。
 学会は東京都内でシンポジウムを開き、桑原章・徳島大准教授が臨床研究の中間報告を行った。
 臨床研究は、年齢が35~42歳で、体外受精を3回以上失敗したか、流産を2回以上経験した女性85人が対象。体外受精を行い、受精卵の染色体の本数の異常を検査した。
 桑原准教授は、集計が進んだ77人について報告した。異常のない受精卵が得られ子宮に移植した38人の場合、妊娠率は7割、流産率は1割。通常の体外受精での流産率は2~3割とされており、検査で流産率が下がる可能性があると説明した。
 半面、77人の半数は異常のない受精卵を得られず移植に進めなかった。このため77人の妊娠率は35%と、通常の体外受精と大きな差はなかった。出産に至った女性はまだいないが、出産率も上昇がみられない可能性があるという。
 同じような条件で、検査を受けず体外受精した女性のデータなどを今後集計し、最終報告を行う。
 受精卵の検査には命の選別との批判がある。学会は重い遺伝病などに限って検査を認め、幅広く調べるスクリーニングは禁じてきた。2017年2月に臨床研究開始を発表し、今後も臨床研究を続ける方針だ。 (C)時事通信社