知的障害や発達障害のある人にニュース記事や書類内容を伝えようと、一般社団法人「スローコミュニケーション」が分かりやすい表現の啓発に取り組んでいる。東京都内で先頃開かれた講座では、福祉や行政の関係者らに表現のこつを解説。「社会参加の一歩につなげよう」と声を上げた。
 「本や雑誌は文字が多く、テレビのニュースも難しい」。老人ホームで働く知的障害者の小池美希さんは、参加者を前に訴えた。スマートフォンを使いLINE(ライン)やメールで家族らとやりとりするが、新聞などを通じて社会の出来事に触れる機会は限られる。地図やクーポンのアプリも使いづらいという。
 講座ではこれらの指摘を検討。一文は短く▽主語を明示▽専門用語や抽象的な表現は避ける▽難しい言葉は説明を補足▽ルビは別の色に▽イラストや図表を付ける-などの工夫が挙げられた。
 一方、ニュース番組は短い時間に情報が詰め込まれ、字幕表示も早く、「障害の有無にかかわらず分かりにくいのではないか」との意見が出た。
 スローコミュニケーションは、福祉関係者や研究者、新聞記者らが2016年に設立。障害者向けの表現方法を調査し、理解しやすい書類や案内文を広めようと活動する。今年8月には、NHKの障害者向け情報バラエティー番組「バリバラ」で、「やさしい字幕」の作成も担当した。
 ウェブサイトや会報には、平易な言葉に直したニュース記事を掲載。ウェブ版はゆっくりとした音声で聞くことができ、担当者の竹口ひかりさんは「障害が重い人は耳で聞いた方が理解しやすい」と話す。
 16年施行の障害者差別解消法は、行政機関や事業者に対し、障害者へのできる限りの配慮を求めている。野沢和弘理事長は「分かりやすさは、障害者を含めた全ての人に利点がある。多様性を理解するきっかけにしたい」と期待する。 (C)時事通信社