「傲慢(ごうまん)な運用に疑問を感じていた」。交通事故で新たな障害を抱えても、自動車損害賠償責任(自賠責)保険の救済対象としない保険会社の運用に対しては、障害者から問題視する声が上がっていた。
 仕事中の事故で胸椎を損傷し、車いす生活を送っていた福岡県の元会社員林潤次さん(44)は2016年7月、通勤中に再び追突事故に巻き込まれた。頸椎(けいつい)を捻挫し、腕や首に痛みやしびれを感じるようになった。
 足が不自由な林さんにとって、上半身に後遺症が出るのは「最悪の事態」だった。日常生活に支障が出て、勤め先も退職を余儀なくされたといい、「失うものの多さに驚いた」と振り返った。
 従来の自賠責の運用では、胸椎損傷で生じた下半身の障害と、頸椎捻挫による後遺症は同一部位の障害とみなされ、賠償の対象とならない可能性があった。
 林さんは、損害保険料率算出機構が後遺症認定の運用を変更したことから自賠責の支払いを受けることができ、「事故後、苦労することが多かったのでとにかく安心した」と話した。 (C)時事通信社