厚生労働省による毎月勤労統計の不正問題で、弁護士らでつくる特別監察委員会は22日、根本匠厚労相に調査報告書を提出した。樋口美雄委員長(労働政策研究・研修機構理事長)は同日の記者会見で「課長級職員、元職員は事実を知りながら漫然と従来の方法を踏襲していた」と強く批判した。ただ、隠蔽(いんぺい)については認めなかった。報告書を受け、厚労相は鈴木俊彦事務次官を訓告とするなど退職者を含む職員22人を処分した。自身は就任時からの給与・賞与を全額自主返納する考えを示した。
 前代未聞の統計不祥事は次官以下の大量処分に発展した。別途会見した厚労相は「統計法に違反しており極めて遺憾。改めておわびし、組織を挙げて再発防止に取り組む」と述べた。
 勤労統計は、従業員500人以上の事業所を全て調査対象としているが、東京都分は2004年に約3分の1の抽出調査に切り替えていた。報告書は、抽出調査にした動機について「500人以上の事業所から苦情が多く、都道府県担当者からの(負担軽減の)要望を踏まえ、全数調査にしなくても精度が確保できると考えた」と明記した。
 抽出調査後、全数調査に近づけるための復元処理をしなかったことに関しては、「企画担当からシステム担当に復元処理するための作業依頼がなされ、システムの改修を行っていれば問題は生じなかった」と指摘。統計調査部門内の連携不足が原因との見方を示した。
 樋口委員長は会見で「統計だけでなく、行政に対する国民の信頼を失わせた」と強調した。今後、抜本的な再発防止策を検討する方針も示した。
 報告書は、15年調査分の事務取扱要領から抽出調査を容認する記述を削除したことについて、当時の担当課長が「隠す意図は全くなく、既にだいぶ前から抽出調査で行われていた」と述べたことを挙げ、隠蔽する意図があるとまでは認めなかった。
 会見に同席した荒井史男委員長代理(弁護士)は「真っ白とまでは言い切れないが、隠蔽があったと言い切るには無理がある」と語った。 (C)時事通信社