性同一性障害の性別変更に性別適合手術を要求する規定について、「違憲の疑い」に言及した最高裁の2人の裁判官は、2014年に世界保健機関(WHO)が出した要件に反対する声明などに触れ、「要件を不要とする国も増えている」と指摘した。
 早稲田大法学学術院の棚村政行教授(家族法)によると、オランダやドイツ、英国などの欧州諸国や米国の一部の州では、性別変更に手術は不要だ。日本では20歳以上とされている年齢制限を引き下げたり、医師の診断書を不要にしたりする動きもあるという。
 棚村教授は「海外ではハードルがどんどん下がっている。性別に関する自己意識は多様で、本人の性自認を大事にしようという傾向がある」と説明。今回の補足意見をきっかけに、日本でも法改正の議論が進むことを期待する。
 日本精神神経学会などによると、性同一性障害と診断された人は約3万人と推計される一方、実際に性別変更をしたのは約7800人と大きな差がある。
 日本に専門の医療機関が少なく、手術に多額の費用がかかることも一因とみられ、性同一性障害の治療を多く行う岡山大大学院の中塚幹也教授は「手術要件がなくても性別変更を認める選択肢があっても良いのでは」と話す。
 中塚教授は「性別変更にかかわらず手術を希望するケースもある」と述べ、手術を受けられる環境自体は必要だと訴えた。 (C)時事通信社