【ロンドン時事】英国の欧州連合(EU)からの離脱をめぐり、英政府・議会が事態を打開できずに行き詰まる中、企業は何の取り決めもないままEUを離れる「合意なき離脱」への備えを加速させている。3月29日に予定する離脱が約2カ月後に迫る中、経済界はしびれを切らし始めた。
 「EU離脱派の無謀な主張に耳を傾けてはならない。彼らは『英国の大きな工場を外国に移せっこない』というが、それは間違いだ」。欧州航空機大手エアバスのエンダース最高経営責任者(CEO)は今月23日公開の動画で、英撤退をちらつかせ、合意なき離脱の回避を強く訴えた。
 準備に入った企業も多い。自動車業界では、英ジャガー・ランドローバーや独BMW、日本のホンダがそれぞれ離脱後に英工場の操業を一時停止する方針。合意なき離脱とならなかったとしても、混乱を避けるのが狙いだ。米フォード・モーターは合意なき離脱の場合、今年だけで損失が約8億ドル(約880億円)に上ると試算する。
 英製薬工業協会(ABPI)によると、製薬各社は英国とEUの双方で医薬品の在庫積み増しとサプライチェーンの見直しに着手した。一方、日本の電機大手パナソニックが欧州本社を既にオランダに移転したほか、ソニーも3月にオランダに移す予定だ。
 ハモンド財務相は24日、財界首脳らとの会談で「あなた方のいら立ちは感じている。しかし、政治はビジネスのようには動かない」となだめるのに必死。ただ、メイ首相は「合意なき離脱を避けたいなら、私の合意案を支持すべきだ」と強気の姿勢をなおも崩していない。 (C)時事通信社