非ステロイド性抗炎症薬「ジクロフェナク(商品名ボルタレン)」には炎症を抑えるだけでなく、心臓の加齢や老化に伴う「線維化」と呼ばれる組織硬化を阻害する作用があることが分かった。筑波大の家田真樹教授や米ワシントン大の村岡直人研究員らが、心臓の再生医療研究中にマウスの細胞実験で発見し、20日発表した。
 ボルタレンは腰や関節、筋肉などの痛みを抑える飲み薬や貼り薬として広く使われる。家田教授らは人の細胞でも線維化阻害作用を確認する実験に取り組んでいる。論文は英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズに掲載された。
 心臓などの臓器にある線維芽(せんいが)細胞は組織の形を作り、維持する。しかし、心筋梗塞や慢性の肝臓病、腎臓病で炎症が起きると、コラーゲンを大量に生み出して臓器を線維化させ、機能不全を招く。
 家田教授は2010年、マウス胎児の心臓の線維芽細胞に特定の遺伝子群を導入すると心筋細胞に変わると発表。人の線維芽細胞でも確認して心筋梗塞治療への応用を目指しているが、年を取った細胞は変わりにくい問題があった。
 今回はマウスの線維芽細胞に遺伝子群を導入する際、心筋細胞への変化を促す化合物を8400種類、試した。その結果、ボルタレンが加齢による炎症と線維化を阻害し、変化を促すことが分かった。家田教授は「意外な実験結果だった。人の細胞で確認できれば、心臓だけでなく他の臓器でも効果がある可能性がある」と話している。 (C)時事通信社