がん治療薬「キムリア」の国内販売が承認される見通しとなった。米国では患者1人につき約5000万円掛かる「超」高額の医薬品だが、5月中にも保険適用される公算が大きい。米国では1億円近い新薬も登場しており、今後財政を圧迫しないか懸念する声も出ている。
 日本では、承認された新薬は保険適用されるのが原則。未就学児ら一部を除けば自己負担は3割で、一定額を超えた分は公費で賄う高額療養費制度が適用される。
 高額薬をめぐっては、ノーベル医学生理学賞を受賞した本庶佑・京都大特別教授の研究を基に開発されたがん治療薬オプジーボが話題となった。1人当たり年間約3500万円掛かるとされ、厚労省は2017年、緊急的に薬価(公定価格)を半額に引き下げた。その後も2度にわたり引き下げを行い、薬価は当初の4分の1となった。
 キムリアは1回のみの投与で、厚労省は対象患者数を年250人程度、市場規模は100億~200億円程度と見込む。米国ではリンパ腫治療薬のイエスカルタ(1回投与で4000万円超)、遺伝性網膜疾患治療薬ラクスターナ(両眼1回投与で1億円弱)が承認されており、これらも製薬会社が日本国内で承認申請する可能性がある。
 厚労省は高額薬への対応を急いでおり、通常2年に1回の薬価改定を21年度以降は毎年実施し、18年度からは最大年4回引き下げられる新ルールも設けた。薬の費用対効果を評価して価格を調整する制度についても、19年度から本格導入を目指している。
 オーダーメードに近い最近の医薬品は、従来と一線を画す価格が設定され、医療費の抑制圧力を強めかねない。ただ、薬価の引き下げは製薬会社の開発意欲をそぐとの見方もあり、全ての国民に等しく医療を提供する国民皆保険制度の理念とどう調整を図るか、難題を突き付けられた。 (C)時事通信社