総務省消防庁は、救急現場で心肺停止した高齢患者の家族らから「本人は蘇生を望んでいない」と伝えられたケースへの対応について、各地の消防を対象とした実態調査を2019年度以降、本格化させる。救急隊の対応状況を基に、蘇生を拒否された場合の標準的な手順に関し、将来的に同庁が統一的な対応を示すことも検討する。
 近年、高齢者の救急搬送が増える中、家族らが動転して119番通報し救急隊が駆け付けたものの、本人が蘇生を希望していない旨を家族らが伝える事例が全国で発生。一刻を争う現場で、救急隊が蘇生措置や搬送の判断に悩んでいることが課題となっていた。
 消防庁は18年度、有識者を交えた検討部会を設置。全国728カ所の消防本部に対し、蘇生を望まない患者への救急隊の対応を調査した。その結果、84.6%の616カ所が「本人が蘇生を拒否する意思表示をしていたと家族らから伝えられた」事例があったと答えた。
 728カ所のうち、蘇生拒否の意思を示された場合の対応方針を定めている消防本部は45.6%の332カ所。検討部会が対応方針の内容を調べたところ、患者本人の事前の同意書やかかりつけ医師の指示があった場合、条件付きで蘇生を中止している消防本部もあった。
 ただ、実際に蘇生を拒否した事例を集計している消防本部は全体の5.8%の42カ所にとどまったため、消防庁は19年度以降に事例と対応状況を集計し、実態をより詳細に把握する考え。その上で最新の終末期医療の状況を踏まえ、標準的な対応を検討していく方向だ。 (C)時事通信社