政府は急速な少子高齢化に対応するため、公的年金制度の見直しを本格化させる。パートなど短時間労働者や元気な高齢者らも制度の「支え手」に回ってもらうため、受給開始年齢の70歳超への先延ばしや、加入期間の上限引き上げなどを検討する。政府は年内に年金制度改正案を取りまとめ、来年の通常国会に関連法案を提出する方針だ。
 社会保障審議会(厚生労働相の諮問機関)年金部会は昨年春から、5年に1度の年金制度の財政検証を進めている。早ければ来月末にも結果を公表する見通し。
 検証では、60~70歳となっている年金受給開始年齢の先延ばしも選択可能にしたケースとともに、70歳未満となっている厚生年金加入期間の上限を引き上げたケースも想定。想定したケースを選んだ場合、現役世代の手取り収入と比較した年金額の水準を示す「所得代替率」を算出する。
 高齢者ができるだけ長く働き、保険料を納めれば、年金財政の安定化が期待できる。高齢者にとっては受給を遅らせる分、より高額の年金を受け取れるため、政府は繰り下げ受給などのメリットを訴える考えだ。
 高齢者の就労促進に向けては、政府は一定の収入がある60歳以上の厚生年金受給者への年金を減額・停止する在職老齢年金制度について、廃止か縮小の方向で検討している。
 ただ、この制度により支給されていない年金額は約1兆円とされ、制度見直しには新たな財源が必要となる。高齢者が給与をもらい年金も満額受給すれば、年金の原資となる保険料を負担する現役世代に不公平感が生じかねず、年金への課税強化も今後の課題となる可能性がある。
 財政検証では、パート労働者らを念頭に厚生年金への加入要件緩和も検討する。しかし、パート労働者らを抱える業界からは、保険料の事業主負担による経営悪化を懸念する声も出ている。 (C)時事通信社