旧優生保護法下で不妊手術を強制されるなどした被害者の救済法が24日、成立した。手術に同意した人などを含め幅広く救済対象とする内容だが、国の謝罪は明記されず、一時金の支給額は320万円にとどまった。こうした点に国家賠償請求訴訟の原告らは納得しておらず、訴訟は継続される。
 5月28日には仙台地裁で、一連の訴訟で初の判決が言い渡される。今後の司法判断次第では、救済法改正の動きが浮上する可能性もあり、全面解決は見通せない状況だ。
 国の謝罪や旧法の違憲性が明記されなかったのは、国賠訴訟が継続中だった影響が大きい。法案作成に当たった与党ワーキングチーム(WT)や超党派議員連盟は、被害者の多くが高齢であることなどを理由に、司法判断を待たずに法案成立を急いだ。
 違憲性に触れなかったことに関し、田村憲久与党WT座長(自民)は昨年10月に法案骨子をまとめた際、「政府が裁判をしているので、われわれ立法が何かを書くのは難しいという判断があった」と説明していた。
 一時金の320万円という額は、同様に不妊手術を受けた被害者に補償したスウェーデンの制度を参考に算出した。ただ、国賠訴訟の原告の請求額との差は大きい。議連の尾辻秀久会長(自民)は3月の法案決定時、記者会見で「これで終わりということではなく、まず一つ形を示した」との認識を示した。一時金増額も含む法改正の可能性を問われると、「個人的な思い」と断りながら「そう思っている」と応じた。
 全国優生保護法被害弁護団の新里宏二共同代表は24日の記者会見で、「提訴が国会を動かし法律ができたことと、(安倍晋三)首相が談話を出して被害に向き合ったことは評価したい」としつつ、「内容は不十分」と批判。「国の責任を認める司法判断が出れば、国会や内閣は制度を改善しなければならない。裁判を続けながら、被害者の全面的な救済のために努力していきたい」として、訴訟を継続する考えを強調した。 (C)時事通信社