ストレスにさらされた細胞がたんぱく質合成を一時ストップして対処する仕組みを詳細に解明したと、理化学研究所の伊藤拓宏チームリーダーらが3日付の米科学誌サイエンスに発表した。
 この仕組みがうまく働かないと、神経変性疾患などを引き起こすことが知られており、成果は治療法開発に役立つと期待される。
 細胞は遺伝子の情報を基に「翻訳」と呼ばれるたんぱく質の合成をしている。紫外線などのストレスを受けると翻訳を一時止めてエネルギーを温存。普段は翻訳を進めるたんぱく質「eIF2」がリン酸化という変化を起こし、逆に翻訳を抑えている。
 こうした事実は知られていたが、詳しいメカニズムは解明されていなかった。伊藤さんらは、2017年のノーベル賞授与対象となったクライオ電子顕微鏡でeIF2の詳細な立体構造を解析した。
 その結果、eIF2が翻訳を進める時には、別のたんぱく質「eIF2B」と結合するが、リン酸化されたeIF2はeIF2Bと逆向きに結合することが判明。逆向きの複合体が、翻訳を抑えていたことが分かった。 (C)時事通信社