国立循環器病研究センターは30日、必要な手続きを経ずに患者の情報を利用するなど、国の倫理指針に反して行われた研究が158件あったと発表した。治療の経過を観察するなどの内容で患者に健康被害は生じなかったが、同センターの小川久雄理事長は記者会見し「深くおわび申し上げる」と謝罪した。
 同センターによると、2013年度と18年度に、内部の倫理審査委員会の承認を受けずに各1件の研究が行われていた。心疾患に関する研究で、論文の投稿受理日が倫理審査承認日より前だったことなどから不正が発覚した。研究成果をまとめた論文は、掲載誌に撤回を求めたという。
 また、13年度以降の研究を調べたところ、治療データを患者に示さず利用していたケースが156件あった。患者が拒否できることを示す文書をホームページに掲載しておらず、同センターは「研究者の一部は、事務職員が掲載すると誤解していた」などと説明した。
 同センターは患者らに対し、電話などで経緯を説明し謝罪。外部有識者で構成される第三者委員会で検証し、関係者の処分を検討するという。 (C)時事通信社