ヒトの人工多能性幹細胞(iPS細胞)から生み出したミニサイズの肝臓で、脂肪性肝炎の病態を再現できたと、東京医科歯科大と埼玉大、米シンシナティ小児病院のチームが30日付の米科学誌セル・メタボリズム電子版に発表した。
 脂肪性肝炎は酒を多く飲む人だけでなく、ほとんど飲まない人でも患者が増えており、肝硬変や肝がんに進行する場合がある。東京医科歯科大の武部貴則教授は、このミニ肝臓が発症や進行の仕組みの解明に役立つと指摘。さらに「何らかの(新薬候補)化合物で臨床試験を目指したい」と話している。
 ヒトiPS細胞からのミニ肝臓作製は、武部教授や谷口英樹横浜市立大主任教授らが2013年に成功したと論文発表。難病患者に移植する研究も進んでいる。
 武部教授や大内梨江東京医科歯科大特任研究員らは今回、iPS細胞をミニ肝臓に変える際に、肝臓の肝上皮細胞のほか、炎症を引き起こすクッパー細胞や線維化をもたらす肝星細胞もできるよう工夫。培養条件を変えると、ミニ肝臓に中性脂肪が蓄積し、炎症や線維化を起こして肝硬変に近い状態となった。
 先天性の脂肪性肝炎患者からiPS細胞を作り、ミニ肝臓に変えると、脂肪の蓄積や炎症、線維化が進むことを確認した。 (C)時事通信社