大津市の交差点で車同士が衝突し、巻き添えになった保育園児ら16人が死傷した事故から8日で1カ月。行政や警察は園児の散歩経路について、点検や取り締まりなど安全対策を進めている。ただ費用や時間の制約上、対策の拡大には課題が残る。
 園児らが通っていたレイモンド淡海保育園は、事故の5日後に通常保育を再開した。園児や保育士、保護者の受けたショックは大きく、滋賀県などは心のケアに当たる臨床心理士の派遣を続けている。
 事故現場の交差点では県が防護柵の設置工事を進めており、今月中に完成する予定。県は交通量の多い交差点約600カ所を対象とした安全点検を終えており、今後、防護柵設置や縁石の補修などを進める。
 大津市は5月末、保育園や幼稚園の散歩経路の点検を開始。保育士らが市職員や警察官らと一緒に歩き、危険箇所を確認している。
 あるこども園の園長からは、散歩経路の歩道が狭く傾斜も急で、バランスを崩した園児が車道に飛び出す恐れを指摘された。ただ、歩道拡幅には隣接する河川を埋め立てる必要があり、道路沿いの住民が車を出すために傾斜も必要で、早期の改善は難しいことが分かった。市幹部は「安全な散歩経路への変更も働き掛けたい」と話す。
 県警は事故を受け、散歩時間帯に園周辺の道路で、可搬型の速度違反取り締まり装置を活用している。小学生の通学時間帯に活用した実績があり、車から目に付きやすく、速度を低減させる効果があるという。
 取り締まり中に園児と散歩したこども園の副園長は「ドライバーが園児の存在に気付き、ゆっくり走るきっかけになる」と期待する。ただ、可搬型装置は県警に1台しかなく、価格も1台1000万円を超えるため、活用回数には限界がある。
 飲酒運転事故で2000年に4歳の娘を失った山口県防府市の山根和子さん(54)は「歩行者に優しい道路環境になるよう、住民は自治体や警察に危険な場所を伝え、改善を促し続けてほしい」と訴えている。 (C)時事通信社