エボラ出血熱など5種の感染症のウイルスを輸入し、国立感染症研究所村山庁舎(東京都武蔵村山市)の「BSL4」施設で保管・活用する計画が、地元市長に容認された。4段階ある国際基準で最も危険度が高い病原体を生きた状態で扱えるBSL4では、ウイルスを厳重な管理下に置くが、漏えい事故などへの周辺住民の不安が拭われたとは言えない。
 感染研などは、病原体を今夏にも海外の研究機関から輸入する計画。ただ生物テロ防止の観点から、具体的な時期や搬入ルートは公表しない。
 対象となるのはエボラ出血熱、クリミア・コンゴ出血熱、南米出血熱、マールブルグ病、ラッサ熱の5種類の病原体。冷凍状態で輸入され、BSL4の実験室では3重の容器に保管される。
 感染研などによると、培養などの作業は外気と遮断した密閉状態の「グローブボックス」内で、手袋越しに行う。2人以上で作業に当たり、不正な持ち出しを防ぐため監視カメラで記録を取る。入退室もカードキーで厳重に管理する。
 実験室の気圧は外部より低く保たれ、ウイルスがボックスから万一出ても外部には漏れない構造にしている。さらに、ボックスや実験室の排気設備には極めて細かい目を持つ高性能フィルターを2枚付け、ウイルスが流出しても捕らえることができる。使用した実験器具を洗うなどした水も、排水時には高圧蒸気や薬液で滅菌する。
 研究者は退室する際、着用した防護服などを脱ぎシャワーで体を洗い流すため、ウイルスが研究者に付着して外に出るのも防げるという。
 BSL4は海外に約60施設あるが、ウイルス漏出事故はないとされる。厚生労働省幹部は「正確で迅速な診断には生きた病原体が必要。安全対策を重ねた上で、地元への情報開示にも努める」と強調する。
 ただ感染研村山庁舎は小学校などに隣接し、近隣には住宅も多く、住民らはBSL4の将来的な移転を求めてきた。地元の雷塚自治会の須藤博代表(72)は「安全性に100%の確証は持てず、不安は払拭(ふっしょく)できない。早期移転を求めていきたい」と話した。 (C)時事通信社