厚生労働、経済産業両省は2020年度、予防医療や介護予防の財政効果を調べる大規模な実証事業を実施する方向で最終調整に入った。健康寿命延伸による高齢者の生活の質(QOL)向上に加え、医療費や介護費をどの程度圧縮できるか検証する。関連経費を20年度予算概算要求に盛り込む方針だ。
 実証事業では、参加を希望する自治体を募り、地域で展開されている糖尿病や認知症、フレイル(心身の衰え)への対策などについて詳細なデータを収集する。
 検証対象となるのは、(1)情報端末による運動不足改善の働き掛け(2)商品券と交換できるポイントの付与によって元気な高齢者に介護助手への参加を促す取り組み-などが想定される。経済学の専門家もメンバーに加えた有識者会議を設置し、収集データに基づいて医療費抑制などの財政効果を検証する。
 これまでも自治体レベルで取り組みの効果を検証した例はあるが、規模が小さく、政府の政策決定の根拠としては不十分との指摘があった。今回の実証では、最低3年程度の期間を確保し、質と量の両面で学術論文の根拠にもなり得る水準のデータを収集する。
 関係者によると、人口規模が数百万人の県域レベルでの広域実証も想定しているという。
 政府は、国民健康保険の「保険者努力支援制度」や介護保険関連の交付金を活用し、予防に積極的な保険者(自治体)への財政優遇措置を進める方針を示している。
 客観的なデータを蓄積する今回の実証事業には、単に取り組みに積極的な姿勢を評価するだけでなく、成果に応じた優遇措置を講じやすくする狙いもある。 (C)時事通信社