令和初となる2020年度予算編成に向け、各省庁からの概算要求が出そろった。今後は年末にかけて予算案の策定作業が本格化する。要求総額は105兆円前後に上り、当初予算額も2年連続の100兆円超えが濃厚だ。歳出拡大懸念が高まる一方、政府が掲げる財政健全化への道筋は見えていない。
 政府は25年度に、借金に頼らず政策経費を賄えているかを示す基礎的財政収支(PB)を黒字化させる目標を掲げる。ただ、内閣府は10月の消費税率引き上げや今後の高成長を見込んでも、25年度には依然赤字と試算しており、政府には思い切った歳出抑制が求められる。
 政府は、「団塊の世代」が75歳以上の後期高齢者になり、医療や介護の費用が一気に跳ね上がると想定される25年度までに、社会保障費の給付と負担の見直しを進めたい考え。財務省幹部は「そういった意識を強く持って年末の予算編成に当たりたい」と気を引き締める。高齢化による自然増を概算要求段階の5300億円からどの程度抑制するかが論点だ。
 一方、20年度予算編成では、概算要求とは別枠で、10月の消費税増税によるマイナス影響を緩和するための景気対策を検討する。さらに、米中貿易摩擦などで世界経済の先行きへの懸念が広がる中、安倍晋三首相が「機動的なマクロ政策をちゅうちょなく実行する」と表明。追加経済対策に含みを持たせるなど歳出膨張圧力は高い。「このままだと25年度のPB黒字化は相当厳しい」(財務省中堅幹部)との声も漏れる。
 麻生太郎財務相は30日の閣議後記者会見で「借金体質が残っている。(税収増で)収入が多いからといって支出を増やすつもりはない」と述べたが、財政健全化目標達成へ乗り越えるべき壁は高い。 (C)時事通信社