1999年以降、全米で約40万人が亡くなった医療用麻薬オピオイド中毒問題で、リスクを十分に説明せずに販売したとして、製薬会社の責任を認める初の司法判断が下された。全米では2000件を超える訴訟が起こされており、今後、製薬会社に対し、巨額制裁金の支払いを命じる判決が相次ぐ可能性が高まっている。
 「虚偽かつ危険な販売手法が依存症と中毒死の急増を招いた」。南部オクラホマ州の地裁は8月26日、こう断じ、米製薬大手ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)に、5億7200万ドル(約600億円)の支払いを命じた。審理では、J&Jが「依存症リスクは低く、重度ではない慢性的な痛みにも有効だ」と宣伝していたことも、暴かれた。
 オピオイドは強い鎮痛効果がある半面、一時的に幸福感を感じるなどの副作用もあり、依存性も指摘されている。米疾病対策センター(CDC)によると、米国では99年から2017年までに約40万人が過剰摂取で死亡した。オピオイド中毒は米社会が抱える極めて深刻な問題だ。
 J&Jは原料成分の生成では全米6割のシェアを持ち、他メーカーにも供給していたとして、「総元締め」(オクラホマ州司法当局)とも糾弾された。J&Jは「連邦法や州法を順守してきた」と主張し、上訴する方針。
 一方で、強引な販売手法で非難されているのが、米製薬パーデュー・ファーマだ。96年に販売開始したオピオイド系鎮痛剤の売り上げは累計で約350億ドルに達するという。メトロポリタン美術館などへの寄付活動で知られるサックラー家が創業し、経済誌フォーブスによると一族の資産は約130億ドルに上る。
 州や自治体などが起こした約2000件の訴訟が係属する中西部オハイオ州の連邦地裁での審理は10月に始まる予定。パーデューは米連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)の適用を受けた上で、最大120億ドルを支払う和解案を提示。しかし、30億ドルとされるサックラー家の拠出額が小さいなどと批判が出ている。
 製薬会社以外にも、医薬卸大手マケッソンやドラッグストア大手CVSヘルスなども訴えられており、関連業界全体を揺るがしている。 (C)時事通信社