【ブリュッセル時事】オランダのハーグ地方裁判所は11日、認知症を患った高齢女性を2016年に安楽死させた医師に無罪を言い渡した。判断能力を失った状況でも本人の意思を確認すべきだったかが焦点だった。女性は認知症の進行前に安楽死を望む意思を書面で残しており、裁判所は最終的な確認は「必要なかった」と判断した。
 オランダでは02年に世界で初めて安楽死を国レベルで合法化。苦しみが耐え難い上、回復の見込みがなく、本人が死を望む場合には一定条件下で医療専門家による自殺ほう助や安楽死が認められている。しかし、判断能力がない認知症患者をめぐっては、どこまで許容されるかが議論となっていた。
 AFP通信などによると、女性は74歳で亡くなる4年前にアルツハイマー病と診断され、病状が著しく悪化した場合は安楽死を望むという文書に署名していた。その後、症状が進行。医師は他の医師の意見や家族の意思を踏まえた上で16年4月、薬剤を投与し安楽死させた。
 女性はいつ安楽死するかは「自分で決めたい」とも記していたが、医師は本人には知らせず薬剤を投与。検察側は意思確認すべきだったと主張していたが、裁判所は「法律の要件は全て満たされていた」と結論付けた。
 オランダ安楽死専門センターのトップを務めるプレイター氏は記者団に「もう判断能力がない人も安楽死させることは可能だという明確な見解だ」と述べ、判決を歓迎した。
 地域安楽死審査委員会によると、18年にはオランダ国内の全死者数の約4%に当たる6126人が安楽死している。 (C)時事通信社