政府やメーカーが電動車いすの普及に力を入れている。近年、高齢者による運転免許の自主返納が増える中、自動車に代わる「足」の役割が期待されている。安全性向上に加え、洗練されたデザインの機種も登場。福祉器具のイメージを一新し、電動車いすを日常の移動手段として定着させたい考えだ。
 スズキは、ハンドルで操作するタイプの電動車いすで業界シェア首位を誇る。主力モデルの「ET4D」(36万8000円)は、急な坂道に差し掛かると音声で案内するなど安全性に配慮した。大きな荷物かごや、フル充電後の連続走行距離が31キロと長いのも好評だ。
 ベンチャー企業WHILL(ウィル、横浜市)は、手元のレバーで操作する電動車いすを販売。売れ筋の「モデルC」(45万円)は、車いすに見えない近未来的なデザインを採用した。同社は「道行く人から格好いいと声を掛けられて喜ぶ購入者もいる」(広報)と自信を深める。
 警察庁の統計では、2018年の免許返納件数は42万1190件。この10年間、急ピッチで増えている。一方、電動車いすの認知度は低い。日本自動車工業会の17年度の調査では、免許返納後の移動手段として、電動車いすを選ぶ人は3%にとどまる。スズキの担当者は「実際に走っている様子から存在を知り購入する方が多い」とし、「電動車いすに乗るほど老けていないと反発されないよう、利便性でアピールしたい」と語る。
 経済産業省は、高齢者の日常生活を支える移動手段として電動車いすを普及させるため、官民で方策を検討している。 (C)時事通信社