政府は、パートなど短時間労働者への厚生年金適用の拡大に向けた検討を本格化させる。加入要件のうち「勤務先が従業員501人以上」と定めた部分を引き下げる案が軸となる。保険料を折半する企業には抵抗感も根強く、企業側への支援策も併せて議論される見込みだ。
 厚生年金に加入できるのは週労働が30時間以上の人。これに加え、2016年からは(1)従業員が501人以上(2)週労働が20時間以上(3)月額賃金8.8万円以上-などの要件を全て満たした場合も対象になった。
 厚生労働省は20日、厚生年金など社会保険の適用拡大を議論する有識者懇談会に取りまとめ案を提示。企業規模の要件については「撤廃すべきだとの位置づけで対象を拡大する」との方向性を示した。労働時間や賃金の要件については踏み込みを避ける記述にとどまった。
 同省が8月下旬に公表した年金財政検証では、企業規模要件を廃止すると約125万人が新たに厚生年金の適用対象となると試算。将来的な年金の給付水準も上昇するとの結果が出た。
 厚生年金に入れば、保険料は企業が折半し、老後の年金額は上乗せされる。いわゆる「就職氷河期世代」の人はやむを得ず非正規雇用を続け、厚生年金に加入できないケースも多く、適用拡大は老後生活の安定につながるとも期待される。
 同省は取りまとめ内容を、来週の社会保障審議会(厚労相の諮問機関)年金部会に報告。今後、同部会や「全世代型社会保障検討会議」に議論の場を移す。
 適用拡大をめぐってはさまざまな意見が交錯する。20日の有識者懇でも、取りまとめ案は「踏み込み不足だ」として、労働時間の引き下げなども求める意見が出た一方、中小企業の代表からは新たな保険料負担への懸念が上がった。
 同省幹部は「利害が対立するテーマで、最後は政府・与党で決定する事項だ」と話し、年末まで詰めの調整が続くとの見通しを示した。 (C)時事通信社