人間の人工多能性幹細胞(iPS細胞)から、肝臓や膵臓(すいぞう)がつながった「ミニ多臓器」を作ることに成功したと、東京医科歯科大の武部貴則教授らのチームが26日、発表した。論文が英科学誌ネイチャー電子版に掲載された。ミニ多臓器の作製は世界初という。
 武部教授らは2013年、肝臓の機能の一部を備えた「ミニ肝臓」の作製を発表した。今回は隣接する膵臓や、肝臓と膵臓を結ぶ胆管も同時に作った。
 これらの臓器は体内にあるものと同様につながっており、全体の大きさは約1センチ。胆汁が肝臓から胆管に流れるなど、機能も確認した。
 作製にあたり、チームは受精卵が分裂し臓器ができる過程の再現を試みた。iPS細胞を使い、臓器のもととなる2種類の組織をまず作製。2種類を並べて培養すると、組織の境目で臓器の発生にかかわるレチノイン酸が出て、肝臓や膵臓に育つ前の細胞が現れた。さらに培養すると肝臓、胆管、膵臓のミニ臓器ができた。
 ミニ肝臓については、重い肝臓病の患者に移植する臨床研究が計画されている。チームは肝臓と胆管が損なわれる病気などでの移植を視野に、ミニ多臓器の研究も進める。新薬開発にも役立つことが期待できるという。 (C)時事通信社