厚生労働省は統合再編の対象となる公立病院などの実名公表に踏み切ったことで、医療費が膨らむ要因となっている病床数の削減に本格的に乗り出す姿勢を示した。団塊の世代が75歳以上となる2025年度にかけてさらなる医療費の急増が見込まれる中、病床数の適正化を図る「地域医療構想」は思うように進んでおらず、取り組みが遅れる公立病院などの統合再編を加速させる狙いだ。
 厚労省によると25年度の病床数見込みは121万8000床で、地域医療構想で実際に必要とされる119万1000床よりも2万7000床多い。特に、集中的な医療を提供し診療報酬が比較的高い「急性期」からリハビリを行う「回復期」病床への転換は目立った効果が見られない。要因の一つは、経営上の観点から、公立病院・公的医療機関での急性期病床の転換が遅々として進んでいないことが挙げられる。
 多くの公立病院では慢性的な赤字体質も問題となっており、政府は地域の民間医療機関では担えない役割に重点を置くよう求めている。
 ただ、住民に身近な公立病院の存在が地域コミュニティーで占める役割も無視できない。少子高齢化の中、地方から都市部への人口流出は歯止めがかからない。公立病院などの機能見直しはこうした流れに拍車を掛け、地方創生に逆行する可能性もある。
 厚労省も、各都道府県や医療機関による今後の協議では「地域の実情を踏まえながら議論を尽くしてもらうことが重要」と指摘する。対象病院を多く抱える都道府県は、地域で暮らす高齢者らへのマイナスの影響を抑えつつ、統合再編に関する議論を早急に始める必要がある。 (C)時事通信社