重度障害者が就労する際に訪問介護サービスを利用できない問題をめぐっては、公費負担に風穴が開きつつある。さいたま市は今年度、全国の自治体で初めて、勤務中の訪問介護サービス費用を市が支援する制度を試行的に導入した。従来、雇用主の責任としてきた国も、福祉施策として支援することについて検討を始めており、関係者の間で、制度改正への期待が高まっている。
 さいたま市は当初、国に規制緩和を要望したが、結論が先送りされたため、独自支援を決めた。今年度予算に298万円を計上し、在宅で勤務する重度障害者への訪問介護費用を全額負担する。
 制度を利用して在宅勤務を始めた矢口教介さん(31)は「障害があって仕事ができないのではなく、仕事はあるのに制度がなくてできないのはおかしい。一生懸命働いて、国の制度改正が必要だということを示していきたい」と語る。
 一方、先の通常国会で成立した改正障害者雇用促進法の付帯決議は「制度の谷間で働く機会を得られない障害者の置かれた現状を解消する」と明記している。厚生労働省は7月、就業する障害者に対する介助の公費負担問題に関する検討チームを立ち上げた。
 「現行制度はディズニーランドに行くなら介護サービスを使えるが、会社に行くなら使えない。障害者が働くという概念がなく、考え方が古い」。障害者の地方議員らによる「障害者の自立と政治参加をすすめるネットワーク」代表で、さいたま市議の伝田ひろみさん(71)はこう主張。7月の参院選で重度障害者2人が初当選したことを受け「問題が可視化された。ぜひ国の制度を見直してほしい」と語る。 (C)時事通信社