厚生労働省は、日常生活で常時介護が必要な重度障害者への支援拡充の検討を進めている。職場で過ごす時間や通勤時の介護も公的支援の対象とする制度改正を行い、障害者の就労機会の拡大を目指す。当初、来夏までに具体策を取りまとめる予定だったが、制度改正を求める声が国会で広がっていることを踏まえ、同省は前倒しも含め対応を急ぐ方針だ。
 重度障害者は、食事や排せつ、移動といった普段の生活のための「重度訪問介護サービス」を、月額の自己負担3万7200円を上限に受けることができる。しかし通勤時や職場での支援は「経済活動」とされ、対象外だ。
 6月に成立した改正障害者雇用促進法の審議では、衆参両院の厚生労働委員会が、通勤に関する障害者への支援などを求める付帯決議をそれぞれ採択した。
 また先の参院選では、れいわ新選組から重度障害のある舩後靖彦、木村英子両氏が初当選したが、国会活動は歳費を受け取る経済活動と見なされたためサービスの対象とはならず、当面は参院の予算で対応することになった。
 厚労省による支援策の検討では、高収入の重度障害者にどの程度自己負担を求めるかが焦点となっている。また、事業主が支払う保険料などを繰り入れている労働保険特別会計から費用を出す場合、雇用主のいないフリーランスに同じ支援ができるのかという論点もある。
 財源を公費に求める場合は、大企業も含めた個別企業の経済活動への支援に税金を使うことへの理解をどう得るかなど、整理すべき課題は多い。
 一方で、舩後氏らの常時介護費用の負担を決めた参院議院運営委員会理事会が、一般の重度障害者への対応も急ぐよう政府に強く求めているほか、舩後氏らが10日開いた院内集会に与党議員も出席するなど、制度改正を求める声は国会内で大きくなっている。 (C)時事通信社