脳内で生み出される硫化水素の量が過剰になると、統合失調症の発症リスクが高まることを理化学研究所などの研究グループが突き止めた。新たな治療薬の開発につながる可能性がある。研究成果は28日、欧州分子生物学機構の科学誌電子版に掲載された。
 硫化水素は人間の体内でも作られ、毒性がある一方、少量であれば血管拡張などの効果を発揮する。研究グループが統合失調症に似た症状を持つマウスの脳を調べたところ、硫化水素を生む酵素が多かった。こうした酵素は、人間の統合失調症患者では健常者より多く、症状が重い人ほど多いことが分かった。
 マウスの脳の調査から、硫化水素が過剰に作られると、活動に必要なエネルギーを生み出す能力が低下することが判明した。脳の海馬では信号を受け取る神経細胞の突起も減ったという。
 研究グループは、硫化水素を生み出す酵素を阻害する薬ができれば、一部の患者で症状の改善につながる可能性があると指摘した。 (C)時事通信社