政府が検討する公的年金改革案の骨格が12日、判明した。焦点だったパート労働者への厚生年金の適用拡大については、「従業員501人以上」としている企業規模要件を「51人以上」に引き下げる方向で最終調整に入る。保険料を折半する中小企業の負担を考慮し、3年間程度かけて段階的に引き下げることも検討する。
 厚生労働省の有識者会議などはこれまで、企業規模要件について「撤廃すべきだ」と指摘してきた。ただ与党内からも企業負担への懸念が根強く、今回の改正での撤廃は見送る。来年の通常国会に提出する年金制度改正法案の付則に、5年後をめどに行われる次回の年金制度改正に向けた検討課題と明記する方向だ。
 パート労働者への適用拡大が実現すれば、新たに65万人が厚生年金に加入する見通し。政府はまた、適用拡大で影響を受ける中小企業への支援策について、新たに策定する経済対策に盛り込み、2019年度補正予算案などに計上する方針。
 一定以上の収入がある高齢者の年金を減額・停止する「在職老齢年金」の見直しについては、65歳以上では減額対象となる基準を「月収51万円超」とする方針を固めた。60~64歳についてもそろえる考え。
 60~64歳では「月28万円超」、65歳以上では「月47万円超」としている基準を引き上げることになる。新たに年4000億円程度の年金給付が発生するため、年金財政は悪化する。
 ただ厚生年金の適用拡大により、保険料収入の増加が見込まれるため、厚労省は将来世代の給付水準に影響は出ないと見込んでいる。
 厚労省は15日に開かれる自民、公明両党の会合に年金制度改正案を提示する。企業規模要件については、「51人以上」「21人以上」「撤廃」の3ケースでの影響を試算した資料を示す。その上で11月末にも制度改正案の大枠を取りまとめる方針。 (C)時事通信社