安倍晋三首相は、団塊の世代が75歳以上になり始める2022年度に高齢者医療の自己負担引き上げなどを実施する意向だ。75歳以上の窓口負担は、現行1割から低所得者らへの軽減措置を入れながら2割に見直す方針。外来受診時の窓口負担に一定額を上乗せする制度も検討している。複数の政府関係者が明らかにした。これらの改革の結論を政府は来年半ばまでに出すが、12月中に「全世代型社会保障検討会議」がまとめる中間報告でどこまで踏み込むかが焦点となっている。
 首相は11月29日夕、首相官邸で加藤勝信厚生労働相、菅義偉官房長官、西村康稔全世代型社会保障改革担当相と会談。同会議の中間報告に向け、与党などと医療制度見直しに関する調整を急ぐよう指示した。
 政府は高齢化により医療費が膨らむ中、75歳以上の自己負担を現役並み所得がある人を除き1割に抑えてきた。必要な財源の大半は現役世代の保険料による支援金と税金で賄われている。
 人口の多い団塊の世代が75歳以上になれば、医療費のさらなる増加は必至。このため政府は20年半ばに医療制度の「給付と負担」見直しの結論を示す。
 首相は10%にした後の消費税増税議論を封印する一方、22年度以降を見据え高齢者を中心とした自己負担の引き上げは避けられないと判断。75歳以上の窓口負担は2割にするものの、一定以下の所得の人については1割に据え置く考えだ。受診時定額負担は、対象となる病院の規模を絞って導入する案が政府内で浮上している。
 ただ、中間報告でどこまで2案の具体的な方向性を打ち出すかをめぐっては、政府内でも温度差が大きい。財務省は負担増の方向性を明確に示した上で、来年の通常国会で医療制度改正法案を提出するよう主張。これに対し、厚労省は病院の再編統合などの議論と並行し、来年半ばの最終報告に向けて慎重に検討すべきだとの立場で、対立が表面化しつつある。
 自民、公明両党も中間報告への提言を取りまとめる方向で、政府・与党での議論が今後本格化する。 (C)時事通信社