大阪大の澤芳樹教授(心臓血管外科)らのグループは16日、心臓の僧帽弁が完全に閉じなくなる「僧帽弁閉鎖不全症」の患者2人に対し、人工心肺を使わない国内初の手術をしたと発表した。手術後の経過は順調といい、澤教授は早期治療や患者の負担軽減につながるとしている。
 僧帽弁閉鎖不全症は、左心室の筋肉と弁をつなぐ糸状の腱索(けんさく)が緩んだり、切れたりするなどして弁が完全に閉まらなくなる病気。隙間から血液が逆流し、心不全などを引き起こす恐れがある。
 澤教授らによると、患者は60代と70代の男性で、4日に手術を受けた。左胸に開けた穴から特殊な器具を心臓に通し、糸を使って腱索を修復。弁の機能を回復させた。
 これまでは人工心肺を使い、患者の心臓を止めて手術していたため、一時的な心機能の低下や、脳梗塞など合併症のリスクもあった。新たな方法では、持病などで人工心肺の使用が難しい患者も手術が可能になるという。
 澤教授は「心臓を止めず、体の負担を小さくする方向に心臓手術は向かっている。患者2人も大変元気になっている」と話した。 (C)時事通信社