医療機関に支払う診療報酬の2020年度改定率が17日、まとまった。焦点だった医師らの人件費に当たる「本体部分」については、18年度改定と横ばいの0.55%アップで決着。来年の衆院解散の可能性をにらみ、政府・与党が自民党の有力支持団体で本体の引き上げを迫った日本医師会(日医)の意向を色濃く反映させた格好だ。
 「このままでは病院経営は赤字になる。前回超えが必要です」。10日、首相官邸で菅義偉官房長官と向き合った日医の横倉義武会長は、本体アップを強く求めた。
 改定率をめぐる政府内の折衝は表向き、ぎりぎりまで対立が続いた。厚生労働省は24年度から医師の残業時間規制が適用されるのを踏まえ、医療機関の働き方改革に重点配分する必要があるとして18年度並みの増加幅を要求した。
 これに対し財務省は本体のマイナス改定を主張。「国庫ベースで財源を出せても(診療報酬引き上げは)国民の自己負担や保険料率の増加につながる」(幹部)と前回を下回る改定率にこだわった。
 事務方同士の折衝に手詰まり感が漂う一方、政治レベルでは別の動きが進んだ。横倉氏は菅氏のほか、岸田文雄自民党政調会長ら政府・与党幹部に陳情攻勢をかけた。
 特に麻生太郎財務相とは11月以降、少なくとも2回にわたり会談。ともに地元が福岡県で旧知の間柄の両者は18年度改定時と同様、電話も通じて緊密に連携しつつ落としどころを探った。
 政府高官は先週半ば、医師らの人件費に加え、勤務医の働き方改革への充当分を合わせて18年度並みとする案に言及。13日に首相官邸で財務省が安倍晋三首相に示した案はこれを踏襲したものだった。
 来年行われる日医会長選では横倉氏が5選を目指す構え。政府関係者は「改定率は完全な政治マターだ。衆院解散も視野に入りつつあり、医師会の意向は無視できないのだろう」と解説していた。 (C)時事通信社