19日にまとまった全世代型社会保障検討会議の中間報告では、高齢者にも応分の負担を求める抜本的な改革議論は尻すぼみとなった。社会保障制度の持続に向け、財政再建に道筋を付けることは喫緊の課題だが、改革のめどは立っていない。
 社会保障費は国の一般会計歳出の3分の1を占め、この30年間で3倍以上に膨らんだ。2022年度には団塊の世代が75歳以上の後期高齢者に差し掛かり、社会保障費がさらに増えるため、給付と負担のバランスの見直しが求められている。
 後期高齢者の医療費について、財務省はこれまでも自己負担額を現行の原則1割から2割への引き上げを主張していた。しかし、医療関係者からの反発もあり、中間報告では2割負担の対象を一定以上の収入層に限るとした。受診時負担額の一律数百円上乗せや、医薬品の自己負担額引き上げも盛り込まれなかった。
 日本総合研究所の西沢和彦主席研究員は「本来は税や社会保険料による負担増の議論もしないといけないが、そういった課題に全く踏み込んでいない」と問題点を指摘する。
 この検討会議を創設した9月、議長代理の西村康稔全世代型社会保障改革担当相は「財政のみの視点で社会保障をばっさり切ることは全く考えていない」と予防線を張っていた。高齢者の負担増加は各種選挙の投票行動にも影響を与えかねない。財務省幹部からは「財政再建の道筋が付くことなど最初から期待していない」と投げやりな声も聞かれた。 (C)時事通信社