腹痛や下痢、発熱などが特徴の潰瘍性大腸炎は長く続くと遺伝子の変異が蓄積され、大腸がんを発症しやすくなることが知られるが、がん化を抑える働きをする遺伝子変異も生じることが分かった。
 京都大と東京大の研究チームが潰瘍性大腸炎に長くかかった患者の大腸を詳細に調べ、発見した。新たな治療薬や予防法を開発する手掛かりになるという。論文は30日までに英科学誌ネイチャー電子版に発表された。
 大腸の粘膜上皮には「陰窩(いんか)」と呼ばれる無数の小さなくぼみがあり、底に位置する幹細胞が供給する細胞の集団で構成される。潰瘍性大腸炎の患者では炎症による破壊と再生が繰り返され、結果として少数の生き残った陰窩の「コピー」で占められるようになり、遺伝子の変異が積み重なる。
 研究チームが変異した主な遺伝子を調べたところ、9個の遺伝子はがん化に関与しているとみられたが、「NFKBIZ」など2個の遺伝子の変異は炎症を弱め、がん化を抑える役割を果たしている可能性が浮上。ヒト大腸がんの細胞株やマウスを使った実験で確認した。 (C)時事通信社