厚生労働省は、中高年となった引きこもりの子どもを養う親が高齢化し、介護や生活困窮を同時に抱えて行き詰まる「8050問題」への対応を強化するため、相談事業を行う市町村が介護財源を活用できるよう制度改正する方針を固めた。市町村は住民から徴収した保険料などを介護事業に使えるが、目的外使用はできない。8050問題は介護と関連が深いものの、実際の運用では財源活用が難しかった。厚労省は通常国会に提出する社会福祉法改正案などに盛り込む。
 8050問題は、介護や生活困窮、障害など複数の分野に関係する。厚労省は支援を必要としている人をたらい回しにせず、ワンストップで受け止める「断らない相談」の機能を備えるよう市町村に呼び掛けている。育児と介護に同時に直面する「ダブルケア」の支援、複合的な要因が重なり合うことによる自殺問題の対策についても役割を期待している。
 新制度では、医療・介護の相談に乗る「地域包括支援センター」の機能を、断らない相談の拠点に統合した場合、運営費の一部として介護財源の活用を可能とする。これまでは、利用者が地域包括支援センターで8050問題の相談をしたくても、引きこもりの分野については別の窓口に出向かなくてはならなかった。厚労省は2021年度からの制度運用を目指している。
 これとは別に、自治体が介護や生活困窮、障害、子ども・子育ての政策を一体的に取り組めるよう、厚労省は4分野の補助金を一括化した新しい補助金を創設する方針。断らない相談以外にも、地域住民が世代を超えて集まって子ども食堂を運営し、支え合いながら交流を深めるような「地域づくり」関連施策の実施を促す。4分野の既存補助金を再編し、21年度予算で数百億円以上の財源を確保する見通しだ。 (C)時事通信社